2017年06月25日

村上春樹 「女のいない男たち」



2014年に出版された短編集です。全部で6編が収録されていて、
いずれも女性を失った(離婚や死別などをした)男性の話になっています。


最後の作品、表題作の「女のいない男たち」は、
ストーリーらしいストーリーがないというか、
なんだかよくわからない感じ(?)で、個人的にはあまり楽しめませんでしたが、
それ以外の5編はとてもおもしろく読めました。


村上さんといえばやはり長編作家、というイメージがありますが、
短編もまた違う雰囲気を楽しめていいものですね。



評価:★★★★
女のいない男たち (文春文庫 む 5-14) -
女のいない男たち (文春文庫 む 5-14) -


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2017年06月19日

窪美澄 「晴天の迷いクジラ」



「ふがいない僕は空を見た」 「よるのふくらみ」に次いで
読みましたが、この作品もとてもおもしろかったです。
読んだ3作品の中で、私はこれが一番好きかもしれません。



あらすじは下記の通りです。
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デザイン会社に勤める由人(24歳)は、仕事の忙しさや
恋人にフラれたことが原因でうつ状態になってしまう。
会社の経営状態は悪化し、見た目も中身も男っぽい女社長(48歳)も
同じく精神的に追いつめられていた。

由人は社長が自殺を考えていることを知り、止めなければと考える。
そして、たまたまテレビでやっていた、ある半島の湾にクジラだ迷い込んだ
というニュースを見て、社長に一緒にクジラを見に行こうと突拍子もない
提案をする。

本当に行くことになった2人が車を走らせていると、
明らかに様子のおかしい少女(16)がフラフラと歩いているのを見つけ、
社長は一緒に行かないかと誘い……

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というような流れです。
4部構成になっていて、第1部は由人の話、第2部は社長の話、
第3部は少女の話、そして4部は3人が迎えた結末が書かれています。
ひとりひとりのことが、生い立ちから丁寧に描かれ、
彼らの苦悩がとてもリアルに伝わってきました。



そして、その苦悩を抱えながらも必死で生きてきて、
これからどうするかを見出そうとする姿にとても勇気づけられました。
なんだか、読んでいて気持ちがすーっと楽になっていくような
感じがしました。人生いろいろあるけどがんばるしかないな、と。



本当に、すごく良い小説だったので、窪さんの作品は引き続き
読んでいきたいと思います!



評価:★★★★(4.5)
晴天の迷いクジラ (新潮文庫) -
晴天の迷いクジラ (新潮文庫) -
posted by yuko at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月11日

窪美澄 「よるのふくらみ」



以前読んだ「ふがいない僕は空を見た」がおもしろかったので、
この作品も読んでみることにしました。
こちらもなかなかおもしろかったです。


「ふがいない僕は…」と同様、語り手がリレー形式で変わっていく
短編になっていて、全体としての話はつながっています。
主な登場人物は、全然違うタイプの兄弟と、そのふたりがともに
好きになってしまった女性の、合わせて3人です。


3人それぞれが抱える悩みや、3人の複雑な関係が描かれていて、
彼らの周りにいる人たちのサイドストーリーも興味深いものが
ありました。


窪さんの作品でもう1冊「晴天の迷いクジラ」も買ってあるので、
これから読むのが楽しみです。



評価:★★★★
よるのふくらみ (新潮文庫) -
よるのふくらみ (新潮文庫) -
posted by yuko at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月31日

キム・エラン 「どきどき僕の人生」



少し前に、韓国の女性作家ハン・ガンの作品「菜食主義者」を読んだのですが、
それがとてもおもしろかったので、同じ著者の小説が読みたいと思っていました。
しかし、日本語に翻訳されていないのか見つけることができなかったので、
別の韓国の女性作家の作品であるこの本を手に取ってみました。



「菜食主義者」と同じく、「新しい韓国の文学」というシリーズです。
あらすじは下記の通りです。


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主人公の「僕」は、両親がわずか17歳のときに生まれた。
そして現在「僕」も17歳を迎えた。しかし僕の身体はもう80歳だ。
「僕」は早老病という病気で、人の何倍ものスピードで老いていき、
身体のあちこちに悪いところが出てきている。

両親は若くして「僕」を生み、たくさんの苦労をしたけれど、
精一杯の愛情を注いでくれた。
僕はそんな両親のために「物語」を書くことに決める。
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こんな風に切ない話なのですが、最後まで一気に読んでしまいました。
約500ページの大作でもありますが、長さも感じませんでしたね。



そして、この小説の後半に何気なく出てきたこんなエピソードが
とても気になりました。



赤ちゃんに対してよくする「いないいないばあ」というのがありますが、
あれは、「目に見えなくなっても消えたわけではない」ということを
子どもに記憶させるためのものなんだ、という一節です。



本当にそうなのかはわかりませんが、なんだか深いなぁと思いました。
多くの親が深い考えなしに赤ちゃんにそれをしているわけですが、
よく考えてみれば、それは多くの赤ちゃんにとって、人生初めての
「学び」になるんですよね。



その初めての学びが、「目に見えなくなっても消えたわけではない」
ということなんだと考えると、すごく感慨深いものがありました。
誰もが人生の中でさまざまな喪失体験をしますが、目に見えなくなっても、
それはどこかに存在していると考えることは、大きな救いになりますね。
私もそんな風に考えてみようと、この一節を読んで思いました。



これからも「新しい韓国の文学」シリーズを読んでみたいと思います。



評価:★★★★
どきどき僕の人生 (新しい韓国の文学 7) -
どきどき僕の人生 (新しい韓国の文学 7) -
posted by yuko at 14:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月23日

村上春樹 「騎士団長殺し」



やっぱり今回もおもしろかったです。
不思議なことが次々に起こるので、
最後までワクワクしながらページを括りました。


あらすじはちょっと言いづらいですが、
次のような感じです。


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画家である「私」は、ある日突然妻から別れを切り出され、
ひとりで山の中の家に暮らすことになる。

その家の前の持ち主は有名な日本画家で、
「私」は彼の描いた未発表の傑作を屋根裏から発見するのだが、
それをきっかけに「私」の周辺で次々と不可解な出来事が
起こり始める。

近所に住む謎めいた男性と知り合ったり、
深夜に不思議な鈴の音が響いてきて、その音の方向を
たどっていくと裏庭に謎の「穴」が見つかったり…。
そして「私」は知らぬ間にどんどん不思議な世界に巻き込まれていき…
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読んでいる間ずっと、この先どう展開していくのだろう?
というスリルとワクワクが止まりませんでした。
この話は本当にこれで終わりなのかな?
「1Q84」のときみたいに、少し間をおいて
第3巻が出たりしないのかな?とちょっと期待しています。



評価:★★★★
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 -
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 -

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 -
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 -
posted by yuko at 17:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする